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メルケルが残した教訓

3月14日(土)

 戦後70年の節目に来日した、同じ敗戦国ドイツのメルケル首相はEUの雄らしく見事な存在感を示した。そして、歴史認識という共通する問題でも「過去と向き合うよう」日本側に求めた。貴重な足跡が残した訪日だった。

 まず、首相が求めたのは、近隣諸国と仲良くしなさい、という教訓である。ドイツは、日本など足元にも及ばないほど歴史認識で苦労を重ねてきた。

 戦争に敗れて祖国は分断され、ナチスの残虐を拭い去るまで、どれほど苦しい外交を近隣諸国と続けてきたか、日本政府には想像もできない。

 そして今、ドイツは宿敵のフランスとも緊密な関係を確立させ、EUでは盟主のような地位を確保している。

 その経験を身をもって知るメルケル首相だから、歴史認識を巡るアジア極東でのとげとげしい対立は、見ておれなかったのだと思う。 (つづく)

 安倍首相との会談で、メルケル首相は「私はドイツの首相としてこの地域(東アジア)にアドバイスする立場にはない」と

言いながら、過去の総括が和解の前提になっていると安倍首相に説き、 「大切なことは、平和的な解決策を見い出そうという試みだ」と強調した。

 韓国、中国との間で融和できない問題、すなわち 慰安婦問題、尖閣諸島の領有問題などは、出方によっては一触即発の危険性をはらんでいる。

 民主党の岡田代表との会談で、メルケル首相が自ら慰安婦問題を切り出したと岡田氏は言った。

 これをマスコミが大々的に報道した。

 ところがどういうわけか、ドイツ政府が「報道は正しくない」と否定した。

 このドイツ政府の否定談話を菅官房長官が13日の会見で紹介したが、 私には、何か割り切れないものがある。

 メルケル首相は来日してから講演したり、安倍首相との首脳会談では様々な問題を論じ合ったが、 世界が最も注目していたのは、首相が東アジア情勢ににどんなコミットをするかだ。

 メルケル首相が意図的に東アジア情勢を語ったわけではないが、韓国などはすぐさま日独首脳会談の内容を取り上げてメルケル首相を礼賛、逆に日本を厳しく批判した。

 積極的平和主義にまい進する安倍政権にとって、メルケル首相の発言がことのほか大きく取り上げられ、反響を呼んでいることは面白くない。

 ドイツ政府は首相と岡田氏の会談を報じた内容は「正しくない」と否定したが、会談で首相が自ら慰安婦問題を取り上げたという岡田氏の話は間違いないだろう。 そんなことをウソをついても何の意味もないからだ。

 ただ、岡田氏が会談後に記者団に説明した内容が全部が全部、首相の気持ちだったかというと、疑問は残る。

 岡田氏には安倍政権を批判する材料として、メルケル首相の意図とは別に、自分に都合よく語ったのではないかという気がする。

 ところでドイツ政府がすぐさま「否定」した裏には、何かあるように思えてならない。

 慰安婦問題がさらに拡散しかねないことを懸念する日本側が、こっそりドイツ政府に会談内容の事実関係を聞いたのではないだろか。

 そして、岡田氏の「一方的な説明」に誤解があることを確かめ、その上で、ドイツ政府に然るべき対応を頼んだのではないかと、私は推測している。

 いずれにしても、せっかくのメルケル首相の来日でしたが、とんでもない置き土産となってしまった。




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Author:gatayann
尾形宣夫。
ジャーナリスト。世の中の様々な出来事を簡潔な言葉でまとめた日記です。タイトルは肩ひじ張らずに「ありのまま記」としました。

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本Webは私の2本のブログに続くものです。HPはhttp://bit.ly/hxZoUw、オフィシャルサイトはhttp://futenma.dtiblog.comです。あわせてお目通しをお願いします。

☆「運命の島 オキナワ」=副題「幸せは珊瑚礁の彼方に」(文芸社)
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1942年宮城県生まれ。
1967年中央大学法学部卒業。
共同通信編集委員室編集長・論説委員、編集委員室次長・論説委員を経て2002年11月定年退社。元共同通信社客員論説委員。
日本自治学会理事。政策情報誌元編集長。分権型政策制度研究センター(RCD)委員。
分権ジャーナリスト会(東京)。神奈川県鎌倉市在住。





(2011年8月10日~)


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