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情報公開制度の落とし穴

7月14日(月)

 元毎日新聞記者の西山太吉さんが沖縄返還をめぐる日米間の密約文書の開示を求めていた訴訟で、最高裁が原告側の上告を棄却、西山さんらの敗訴が確定した。

 そもそもこの裁判は、沖縄返還に際して米側が負担しなければならない費用を日本側が肩代わりしたとして国に外交文書の開示を求めたものだが、外務省はそんな文書は存在しないと突っぱねたため裁判になった。

 1審は文書の公開を命じたが、2審の東京高裁は3年前に「文書は廃棄された可能性が高い」と訴えを退けたため、西山さんたちが上告していた。

 ところが今日の最高裁判決は二審の判断を維持した上で、
「行政機関が存在しないとする文書は、開示を請求する側がその存在を証明しない限り公にできない」
という、他人事のような判断を下した。

 「知りたいなら、自分で証拠をもってこい」と言わんばかりの判決で、こんな司法判断は異例だ。

 要するに、原告が公開を求めるなら、その文書が存在することを原告自身が証明しろ、というわけだ。

 こんな裁判はあるだろうか。
 密約文書の存在は米国で既に公開されているのに、日本政府は「そんなのはないと言い、さらに追及されると、今度は「破棄してしまった」と言い出した。

 最高裁の判決は、国が破棄したものはもう存在しないのだから、それでも公開せよと言うなら、「あなたたちがその文書があることを証明しなさい」ということだ。

 こんなことを言われても、原告には手も足も出ない。

 原告が外務省に乗り込んで「家探し」をしろと言うのだろうか。そんなことは非力な原告に出来っこない。

 犯罪に遭った被害者が訴え出て、これに警察や裁判所が犯人を連れてこいというに等しい、無慈悲な判決だ。

 かつて菅直人元首相が厚生相だった1996年2月、薬害エイズの研究資料を省内の書庫で発見、公表したことがあった。
 官僚は文書はないと言い張り、菅大臣が乗り出して探させたら見つかったという悪しき前例もある。 

 要するに沖縄返還の密約についても外務官僚の言い分を振り回すだけでなく、大臣が本腰を入れて取り組めば、隠れた事実が分かるという前例だ。
 
 情報公開制度とは一体何のためにあるのか。

 さらには昨年暮れ成立した特定秘密保護法の施行が近い。

 秘密保護法が施行されれば、役所の秘密事項などはますます手が届かなくなる。

 あれも秘密、これも秘密事項となって、国民の知る権利はますます遠のいてしまう。

プロフィール

gatayann

Author:gatayann
尾形宣夫。
ジャーナリスト。世の中の様々な出来事を簡潔な言葉でまとめた日記です。タイトルは肩ひじ張らずに「ありのまま記」としました。

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本Webは私の2本のブログに続くものです。HPはhttp://bit.ly/hxZoUw、オフィシャルサイトはhttp://futenma.dtiblog.comです。あわせてお目通しをお願いします。

☆「運命の島 オキナワ」=副題「幸せは珊瑚礁の彼方に」(文芸社)
http://www.amazon.co.jp/%E5%B0%BE%E5%BD%A2-%E5%AE%A3%E5%A4%AB/e/B009PAT28C

1942年宮城県生まれ。
1967年中央大学法学部卒業。
共同通信編集委員室編集長・論説委員、編集委員室次長・論説委員を経て2002年11月定年退社。元共同通信社客員論説委員。
日本自治学会理事。政策情報誌元編集長。分権型政策制度研究センター(RCD)委員。
分権ジャーナリスト会(東京)。神奈川県鎌倉市在住。





(2011年8月10日~)


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